070118 ランダム
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薩摩・大隅見聞録

薩摩・大隅見聞録

息子が3歳で手術したワケ



息子は、鹿児島県K市のとある産院で出産しました。
その産院は、母が私や妹を出産した場所でもあり、そのため思い入れが強く、そこでの出産を希望したのです。

ところが、以前の先生はすでに亡くなっており、当時はあまり評判の良い産院ではなかったことに気付いたのは、だいぶあとからでした。


出産当日、外は薄曇。
病院に着いたときには地震・・・。嫌な予感。

もうホントに、力めば生まれるくらいの状態。
なのに、ほんの1時間前にも出産があったとかで、助産婦さんも看護婦さんもバタバタ・・・。分娩室内もゴチャゴチャ。

最後のエコーでも「また女の子だね」って助産婦さん。
私は妊娠がわかった時点から“男の子”だと確信していたのに(娘のときも妊娠直後に“女の子”だと確信していた)。

手術台のような平らな分娩台。
「こんなんじゃ、うまく力めないかも・・・」不安を抱いているとあれよあれよと息子が産道を降りる気配!!
「あの、もう生まれるんですけど」と言うと、「え?まだ時間かかると思ったのに早い~!!」と助産婦さん。またあわててバタバタ。

うまいこと誘導してくれなかったためか、この分娩台が悪いのか、下半身に力が入りませんでした。
無駄な体力を使ったために、私の身体が硬直し始め、うまく力むことができなくなってしまったのです。
「何で、力むのやめるの!」そんな助産婦さんの声もおぼろげに聞こえ、「もう力が入らない手が硬くて痛いよう」と傍らについてくれていた旦那サマに口も麻痺しかけてて、声にならない声で訴えると、「妻がおかしいですよ!」の旦那サマの一声で、ようやく処置してくれた看護婦さん。
朦朧とした中で、45分で出産を終え、助産婦さん。「何だ男のこだったね。ごめんごめん」

私の身体はまだ硬直したまま、ふと、慌ててしてもらった点滴を見ると・・・、空っぽ!
分娩室には看護婦さんと助産婦さんの姿はなく、ようやく旦那サマに呼んできてもらったら看護婦さん。「もっと早く言ってくださいね!」
あの、もう手の甲までしか液はなかったんですけど・・・。

病室に戻ってからも、なぜか「子宮の掃除です」と何かを掻き出すかのように(胎盤はすでに摘出しているのに)、出産直後の子宮を掻き回しに来ました。
自分で起き上がれるまでの間も私の意識は朦朧とし、目は霞んであたりは真っ白に見えていました。
そんな私の状態を、「出産の疲れだ」と周りの人間も病院側も受け入れてはくれなかったのです。
今まで経験したことのない子宮の痛みと出血量が退院まで続きました。

そんな感じで出産から退院まで、産院としてはありえないことばかりがあり、健診でも、息子に異常は見られないと診断されたのでした。


4ヵ月後、長崎で検診を受けると『左停留睾丸(左停留精巣)』しかもその中でも重い“腹部停留精巣”と診断されたのです。
私は思いもかけないことに驚きました。
何でもっと早くに分からなかったのだろう!
悔しい気持ちでいっぱいになりました。

息子は、それから3年様子を見て(睾丸が下がってくるのではないかと)、3歳のときに手術したのです。
手術はほぼ成功。1時間くらいでした。
しかし発見が遅かったので、手術する機会も遅れ、精管が成長しておらず、短かかったために、陰のうに縫い付けてあるとのこと。

機能は、・・・大人になってみないと分かりませんね。



◆ 停留睾丸[ていりゅうこうがん](停留精巣[ていりゅうせいそう])


概念:
精巣が生理的下降の途中で留まった状態。男子性器の先天異常の中では最も多く、生下時男子の3~4%に認められるが、多くは数ヶ月以内に自然に下降し、生後一年を過ぎると停留精巣の頻度は0.7%前後に低下する。80%以上は片側性である。位置により、陰嚢内高位、鼠径部、腹部停留精巣の3つに分類される。前者ふたつは触知可能なことが多く診断は容易であるが、後者は画像診断が必要となってくる。また、遊走精巣と呼ばれるものがあり、外観上は停留精巣の様にみえるが、圧が加わったり状況によっては陰嚢底まで精巣が下降し得るものを言い、精巣挙筋の緊張による挙上や正常の発育過程の途中であることが多く、治療を必要としない。
停留精巣の原因は、精巣導帯の付着異常のほか、精巣自体の先天的欠落、性腺刺激ホルモンや男性ホルモンの異常などが関与していると言われる。


合併症:
*造精機能障害:停留精巣では、陰嚢内よりも精巣の温度が2℃前後高く保たれるので造精機能の発達に障害がみられる。また、精巣が高位にあるほど組織発生異常の程度が著しく、両側であれば男性不妊症となる。しかし精巣の間質細胞Leydig cellの活動は阻害されず、テストステロン分泌は正常に保たれるのが普通である。

*精巣腫瘍:精上皮腫が成長に伴って発生しやすい。その危険率は正常精巣の10~50倍である。

*鼠径ヘルニア:停留精巣では90%以上に腹膜鞘状突起が開存しており、ヘルニアの合併は25%に及ぶ。

*その他:精巣回転症の合併、全身の系統的先天異常の合併、外傷に伴う打撲や圧迫を受けやすい。

治療:
心理的影響を回避し、続発する合併症のリスクを低下させるためには、小学校入学以前に治療を行わなければならない。ふつう3~5歳頃が良いとされるが、もっと早い時期が良いという説もある。治療には、ホルモン療法、精巣固定術、精巣摘除術などがある。


予後:
精巣を陰嚢内に下降固定することによって、各種合併症をかなり予防することができる。しかし、精巣の内因性発育障害によって、治療後も造精機能の正常な発達がみられないことがある。特に両側性の場合では、精巣固定術を行っても50%以上が不妊症になる。

参考文献:
                        編著 中外医学社
                       新泌尿器科学; 熊澤 淨一 南山堂



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